みたいなのどうよSSまとめ

後輩ちゃん可愛い。

先輩(♀)「ときに後輩くん。私と交際してみる気はないかな?」

先輩(♀)「ときに後輩くん。私と交際してみる気はないかな?」

 

1

先輩「む、失礼だな。そんなに驚かなくてもいいじゃないか。私にだって、色恋への興味くらいはあるさ。」

先輩「互いに想い合う男女が、互いを求め合い、互いと一緒にいるだけで、自然と笑みがこぼれてしまう。」

先輩「そういった関係はとてもよいものだ。考えるだけでなんだか、こう胸が温まるものがある。そして、なんだか心臓も早鐘を打つ。」

先輩「そうしてそんな素晴らしい関係を、後輩くんとなら紡いでみてもいいかもしれない。そう思ったんだが……どうかな?」

先輩「と、少し態度が横柄だったかな。では改めて言おう。後輩くん、私と付き合ってくれ。」

先輩「後輩くん、キミならばきっと私の期待通りの恋をさせてくれるだろう。さあ、私の手をとってくれ。」

先輩「そうして私と一緒に手を繋ぎスキップをしながらお洒落な喫茶店に入って、大きなパフェのイチゴをお互いの口に運び合おうじゃないか。さあ、さあっ。」

 

2

先輩「……なに、そんなことはない。後輩くん以外に私に恋をさせてくれるうってつけの相手なんていないさ。キミが適任だ。」

先輩「私は恋がしてみたい。恋というものがどんなものなのか。私の思い描いた通りのものなのか。知りたいんだよ。」

先輩「…………なに?……私は、“恋”に恋していると?」

先輩「………………ふふっ……あははっ。」

先輩「うん。うん。たしかに、言われてみればその通りかもしれない。私は恋という正体不明のなにかに、心惹かれていたのかもしれない。」

先輩「そうなると、そのための、ある種の“道具”として扱われた後輩くんは、それは面白くないだろうね。」

先輩「そうかそうか、ふふふっ、それはそうだ。ああ、すまない。私はまた、なにかよくないことを後輩くん、キミにしてしまうところだったね。」

先輩「後輩くん、すまなかった。この通り、許してくれ。」

 

3

先輩「しかしね、後輩くん。キミにはもちろんすまないと思っているし、私の心のなかでいくばくかのキミへの謝罪の気持ちがある。」

先輩「それでもね、やはり私はこの知識欲を抑えきれそうにない。そうできるほど私は長く生きてもいなければ、人生に絶望もしていない。」

先輩「私は思うんだ。きっと今、このときに恋をしておかなければ、おそらく一生誰かに恋をすることなく生涯を閉じるのだろうということをね。」

先輩「“恋”というものは、まあ私の勝手な妄想の推測でいえば、私が今まで生きてきたなかでなによりも素晴らしいものだ。そう思う。」

先輩「そしてそんな素晴らしいものを、この先、死んでも体験できないだなんて、私はそんなこと、耐えられないんだ。」

先輩「私の思い描く“恋”というものは、私の想像とは裏腹に、本当はそんなに素晴らしいものでもなければ、逆につらいものなのかもしれない。」

先輩「でもね、私は素晴らしいと、今は考えている。その答え合わせができるのは、まだ若い今のうちだけなんじゃないかって、そう思うんだ。」

先輩「だから、まあ、さっき謝っておいてすぐにこんなことを言うのもなんともなんなんだが。」

先輩「後輩くん。やっぱり、私と付き合ってくれ。」